食欲を抑える薬とゼニカルの違い

動物が食欲を感じるのは、脳の視床下部という部位の摂食中枢が働くからです。
これにストップをかけるのが満腹中枢で、通常は摂食中枢と満腹中枢がバランスを取りながら働くことで体型を維持しています。
しかし、過度なダイエットによる我慢などが続くと、摂食中枢と満腹中枢の働きが崩れてしまうこともあります。異常に空腹を感じるときには、満腹中枢の働きがおかしくなっていることも考えられます。これにより、リバウンドという現象が起こることも多いです。
そういったリバウンドの失敗を回避できるのが、食欲抑制剤です。その名の通り食欲を抑える作用を与えてくれる薬で、使うと視床下部の満腹中枢が刺激されて食欲にブレーキをかけてくれます。食欲抑制剤の多くには精神を安定させるホルモンであるセロトニンの合成を促す薬が入っています。
食欲抑制剤と同様にダイエットに用いられる薬に、ゼニカルなどの痩せ薬系のものもあります。
食欲抑制剤は食欲抑制に関与する機能を高めて、食欲にブレーキをかけるのが痩せるメカニズムです。
一方、ゼニカルなどの痩せ薬には体に脂肪を蓄積させてしまうリパーゼのような酵素の働きを阻害する作用があります。それにより、食事から摂取した脂肪をカットすることが可能になっています。
食欲抑制剤は食べないように脳を騙すことが主作用で、痩せ薬は太るシステムに関わる機能にストップをかけたり、働かせなくしてしまうのが主作用です。
ゼニカルの場合には脂肪になりにくくして、排泄物として排出させることで太らないようになっています。副作用として下痢になったり、おならが出たり、といったことが挙げられますが、これも脂肪が出ているということなので、効果が出ている証拠とも言えます。

食欲を抑えるのではなく脂質カットできるゼニカル

食欲抑制剤のような薬と、ゼニカルのような痩せ薬のダイエットに繋がるメカニズムは異なります。
食欲抑制剤はあくまでも「食べたい」という食欲を抑えることで、太る要素を取り除きます。
一方ゼニカルは「食べる」ことを前提として作られている薬で、食事から摂取して使いきれなかった余剰エネルギーが脂肪になるのをカットします。
ゼニカルの作用を知るには、消化・吸収のメカニズムを抑えることがポイントです。
三大栄養素であるデンプン・たんぱく質・脂肪は、体を作ったり、エネルギーの源になります。
デンプンは唾液・胃液・腸液で分解され、たんぱく質は胃液・膵液(すいえき)で分解されます。デンプンとたんぱく質はどちらも小腸から栄養として吸収されます。
脂肪はと言うと、肝臓から分泌される胆汁により分解されます。胆汁にはリパーゼという酵素が入っていて、これが脂肪を細かく砕いて乳化させます。その後、デンプンやたんぱく質と同様に腸から栄養として吸収されます。
ゼニカルはこのリパーゼの働きを無くすことで、脂質を分解できないようにしてしまいます。
つまり、脂質の多いものを食べても栄養として使える形に分解されないので、太らないということになります。
食べた脂肪はどうなるかというと、そのまま腸を素通りして排出されます。人間は食物繊維を消化吸収できないと言われますが、ゼニカルを飲むと同じように脂肪が分解できなくなり、そのままの形で排出されるというメカニズムです。
それ故に、中には効果がありすぎて下痢のような症状を起こしてしまう人もいるようです。
ゼニカルの正しい使い方としては、心の糧として使う方法です。いくら太らないとはいえ、既に脂肪がついてしまっている場合には落とす努力が必要ですし、いくら食べても安心ということにはならないからです。